ネットカフェに泊まるより公衆便所に立てこもるべきだ

俺は「ネットカフェに泊まるな。それよりも公衆便所に立てこもるかその辺で野宿したほうがいい」と叫びたい。

 


俺は梅田のネットカフェに泊まった。5時間で1500円くらいだった。本当に酷い夜だった。こんなことのために金を使うくらいなら、千円札をケツ拭きの代わりに使う方がまだ未練が少ないだろう。

 


僕はこの日、大阪に旅行に来ていて、たっぷり1日かけて23キロも歩いたのである。まるで枯れた植物のように疲れ果てた僕は、死に場所を見つけた兵隊のようにネットカフェに転がり込んだ。これで僕は救われると思った、世界は愛と勇気に包まれていると思った、諦めなければ夢は叶うのだと思った。

 


しかしどうであろうか。ネットカフェはマンガを読んだりパソコンで遊ぶための場所であり、泊まるための場所ではないのである。キャバ嬢を恋人にすることができないのと同じように、ネットカフェはホテルの代わりにはできないのだった。

 


ネットカフェといえば、僕はソファーが置いてあって、そこに座って仮眠くらいはできるものだと思っていたが、そうではないのだから驚きである。まさに便所の個室くらいの大きさに仕切ってあり、倒産した事務所から持ち込んできたようなオフィスチェアとディスクトップPCが置いてあった。

 


こんな便座に毛が生えた程度の椅子で寝るのかと思った。かなり疲れていて、次の日は神戸で遊ぶ予定だったからしっかり休みたかったのに、これじゃあろくに眠れないじゃないかと思った。高速バスで寝る方がマシなくらいである。

 


僕はまるで不良債権を抱え込んだ銀行家のようにやり場のない虚しさと後悔を抱きながら、ドリンクバーを探した。ドリンクバーを飲みまくってなんとか損失を抑えようと思った。心根が貧乏人のそれであることが虚しい。最初にアクエリアスを飲んだ。美味しい。きっとこのアクエリアスは、富士の湧き水に天使の涙を混ぜてできた聖水に、千人の美女が暮らす絶海の孤島にある塩田の塩を混ぜてあるはずだ。次にコーンポタージュを飲んだ。まずい。ゲロと小便を混ぜたような味と匂いで少しめまいがした。口直しにココアを5杯くらい飲んで、糖質を補給するためにガムシロップをありったけ飲んだ。

 


僕のブースに戻る途中、壇蜜白石麻衣の写真集が置いてあったので読んだ。一日中歩いたせいであまりにも疲れていて、全く興奮しなかったのがやや残念である。

 


5時間パックを申し込んでいたのだけれど、それを過ぎると延滞料金を徴収されるシステムである。絶対にそんなことのために金を払いたくなかったので、4時間50分くらいネットカフェで過ごしてから退室した。ほとんど徹夜したような状況でまだ眠かった。ネットカフェから大阪駅に向かう途中、大阪駅スカイウォークのナイアガラのような照明が消される瞬間を見た。朝の大阪の街は人通りが少なくて、まるで家具の無い家のようだった。僕は三宮を目指していた

 

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