神戸旅行1days 湾岸エリアを中心に

これの続き

 
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神戸海洋博物館

 

「海洋博物館」というのだからホルマリン漬けの深海魚や3万年前の魚の魚影の展示が連想されるのだけれど、それは違う。割り箸をくっつけただけみたいに見える弥生時代の船、中世の海賊船、タンカー、軍艦など、古今東西の船の展示があった。その中でも最も美しいと感じたのは海賊船である。とにかく勝つ、ぶちのめす、根性、気合い、発射、という勇猛な姿勢に胸キュンしてしまった。リングの外からヤジを飛ばすデブよりも、利き腕を縛られて、顔が腐ったトマトみたいになるまでぶん殴られても、戦闘意欲をもって戦う奴の方がかっこいいのである。武力の権化のような海賊船が醸す不退転の決意に感化され、僕はその日からいつも船首像・ゼルダを背中に縛り付けている(おかげでギックリ腰になった)。

 

同じ建物の中に川崎重工の過去の実績を広告しているエリアがあった。戦前の「特急あじあ号」に始まり、戦闘機、甲子園の銀傘、ヘリコプター、新幹線、発電所を拵えたんだぞ、という年寄りの自慢話みたいなパネル、巨大なタービン、それから「ねぇこれ買ってよー(パパ活女子)」とおねだりをするようにバイクが置いてあった。

 

僕の友達にバイクを愛する人がいて「死と隣り合わせというスリルに依存していたい」「速い、って男らしさだ」「いつかバイクで空を飛ぶ」など、数々の名言を残した者がいる。その彼は川崎製のバイクに乗っている。展示品のバイクに跨って、自分が風を切り裂くように駆けるところを想像しただけでバイクが欲しくなり、とりあえずアコムで金を借りた。

 

神戸海洋博物館は船の模型、港湾の商業的機能、川崎重工の技術など見所の多い施設だった。この博物館の向かい側にまるで金目鯛をひねり上げたような建物がる。巷では「神戸ポートタワー」と呼ばれているらしい。神戸市役所展望台は無料で登れると知っていたのでわざわざここには行かない。次に向かったのは、神戸税関広報展示室である。

 

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神戸税関広報展示室

 

入場料無料である。ここは三宮駅メリケンパークの通り道にあって、軽い気持ちで立ち寄ってみた。悪徳密輸商社がこんな物(例えば、麻薬、鉄砲、象牙、虎革のベスト、象の足)を持ち込もうとしましたが我々が食い止めましたよ、という展示品が多かった。

 

この中でも特に印象に残っているのは覚せい剤が高価なことである。1994年、北朝鮮から覚せい剤が持ち込まれて、その価格は100キロで60億円だったそうだ。なんという高値だろう。不謹慎な例えだが、体重が68キログラムのサッカー選手、ネイマールの年俸は49億円だそうだ。理論上、ネイマールに100キロの覚せい剤を引き渡せば、彼を1年2ヶ月雇えるのである。

 

さらに覚せい剤は1キロ6千万円である。プロテインの粉は1キロ二千円で、(安い)塩に至っては1キロ五十円であった。同じ粉なのに水鉄砲と水素爆弾くらい価格的破壊力の差がある。僕が税務官だったら、副業として税関で差し押さえた覚せい剤をヤバそうな組織に流して、金を稼ぐだろう。あるいは、密輸の手助けをして手数料を稼ぐだろう。これを「マネタイズ」というのである。